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この記事は圧倒的令和ッ!!ぴょこりんクラスタ Advent Calendar 2019のために書いたものです。 このAdvent Calendarが何なのかについては、主催者による紹介記事を見てください。

はじめに

録画データを整理していたら、水曜どうでしょうを録画していたことを思い出した。 録画するだけして満足してしまうパターンで、これまで触れてもいなかったが、 久しぶりに見てみると案外展開を覚えていて、同窓会で思い出話をしているような気分になった。 そんな気分のなか、ふと思い立って死蔵していた日記を手直しして放流することにした。

これは、当時大学生だった自分が、水曜どうでしょうが好きなお友達と集まって、サイコロの旅をやった話である。

第0投

サイコロの旅とは、低予算・低姿勢・低カロリーをモットーにしていた*1水曜どうでしょう」というバラエティ番組の企画である。 この番組の起源は今から約14年前*2に遡る。 この企画は東京をスタートして北海道を目指すもので、行き先及び交通手段はサイコロをふって決める。 あさっての方向に深夜バスで向かってしまい、いろいろ大変なことになる大泉洋鈴井貴之の リアクションを見ることが面白い企画である。

今回の旅はこの企画を下敷きに、大学生が手の届く範囲に改変している。 以下にルールを簡単にまとめる。

  • 移動は明治のサイコロキャラメルの出目に従う
  • 移動手段は青春18切符であるが、時と場合により色をつけてもよい。
  • 目的地は東京、スタート地点はサイコロを振って決める(スタート地点までは深夜バスで移動)
  • 2010/09/01スタートで、2010/09/03の終電までに家につくこと

旅のメンバーを紹介しよう。

名前 ひとこと
T 行き先候補を決めるディレクター担当。京都と旧国鉄が好き。
P 行き先候補を決めるディレクター担当。食べ放題に行くと、こちらが心配になるくらい食べる。
N 今回は家を守るために旅自体は不参加だが、サイコロの初投だけ参加。
S 運良く途中で合流した後輩。バスに乗ろうとして肘をぶつけてしまい、2針縫った。
ビスコ 作者。

第1投

もうそろそろ19時になろうかとしているというのに、外はまだまだ蒸し暑かった。

僕らはサイコロをふるべく、大学構内通路の照明が明るい場所へ移動した。 第1投は、家を守るため無念にも欠席することになった Nが担当する。スタート地点を決める重要なサイコロであるため、 N以外は若干緊張の表情をしていた。

行き先候補は以下の通り。サイコロを降る際はかっこ内は伏せていたので、 5以外はどこに連れて行かれるのかわからなかった。 出目5のブルーメッツ号は本家で出ていたこともあり、行き先がわかっていた。

  1. どこ?:シリウス号(東京駅→青森県八戸市)
  2. 平和そうなちょうちょ:パピヨン号(新宿駅名鉄岐阜)
  3. 何となくわかる:マスカット号(新宿駅→岡山)
  4. 砂漠の気配がする:キャメル号(浜松町駅米子駅(鳥取県))
  5. これだけは出してはダメ:ブルーメッツ号(新宿駅高知駅)
  6. バス名だけでは皆目わからない:夕陽号(東京駅→酒田(山形県))

Nの出した目は5であった。Nは出目については特にコメントなしで、 にこにこしながら扉視点で書かれた詩(プロペルティウス第1巻16番)について唐突に語り始めた。 20:30新宿発のバスに乗るには、もう殆ど時間の余裕はない。プロペルティウスはさておき、 新宿に向かった。

新宿駅に到着後、Nは嬉々として迷うことなくバスターミナルへと僕らを導いていった。 結果、無事に20:15に切符売り場に到着し、20:21に切符購入完了した。 席が連番で、しかも3つだけ空いてたときには出来すぎていてショックを受けた。 バスを待っている隣で、Nはものすごくにこにこしていた。

バスは4列シートで狭く、しかもフットレストはTと共用。 しかも隣のおばさんがいびきをするわ、寝ぼけてヒジ打ちをかましてくるわで、 眠れない夜を過ごす羽目になった。Tもなかなか眠れないようだったが、Pは憎たらしいことにぐっすり寝ていた。

第2投

9月2日午前7時、ブルーメッツ号は高知駅へのそのそと入ってきた。 涼しくてさわやかな朝である。

第2投の目は以下の通り。徳島以外は当たり目であるが、高知はあまり交通の便がよくないのか、 こうでもしないと家に帰れないというのがTの言であった。

  1. チャンスタイム 少しだけ特急:神戸
  2. 起死回生 少しだけ特急:岡山
  3. まだまだいける 少しだけ特急:高松
  4. 広島県突入 少しだけ特急:福山
  5. のんびり高知 各駅停車で:岡山
  6. 四国満喫:徳島

第2投は僕が担当した。無難に1の神戸を出して四国脱出である。 電車は7:30発のため、高知滞在は30分となった。 朝ごはん代わりに、駅の売店かつおめし(150円)を購入した。

高知駅から土佐山田駅まで各停で向かい、 土佐山田駅から大歩危駅まで特急南風に乗った。 特急だけあって乗り心地がよく、その上眺めもよかった。 旅のなかで一番まともな椅子だったと思う。 お金を稼ぐようになったらこういう列車で旅ができるといいなあ、とか、 深夜バスには2度と乗らないとかいう会話をしていたように記憶している。

最高の贅沢は時間をゆったり使うことだと思う。 特急の後は1両だけのほぼ貸しきり電車でのんびりと山の中を進んでいった。 緑鮮やかな大歩危の渓谷はとても美しい。 川の近くまで行けるとよかったのだけど、もちろん時間はないので眺めるだけである。

第3投

神戸の乗り換え時間が少ないため、第3投は前倒して阿波池田駅で行うことにした。 阿波池田駅は特急の止まる比較的大きな駅ではあるが、駅前の商店街はシャッター街で人影はない。 駅横の旅行代理店「ワープ池田支店」がやたら存在感があった。

第3投の目は以下の通りで、Tが出した目は1。

  1. 映画村:太秦(京都)
  2. 何があるかわからない:播磨新宮(兵庫)
  3. さあ帰ろう:米原(滋賀)
  4. マスカット:倉敷(岡山)
  5. もっとがんばろう:浜松(静岡)
  6. 四国が僕を呼んでいる:高松(香川)

無難に東へ進めていて、みんなのテンションも高いままで維持できていた。 偶然にも後輩Sが坂出駅で合流することになった。 Sは小豆島観光の帰りのようで、デジカメのメモリは石垣の写真でいっぱいになっていた。

昼食は岡山駅で食べた。デザートにジェラートを食べ、観光気分を味わいながら、 僕らは一路太秦へ向かった。なお、乗り換えの都合で神戸の滞在時間は約20秒であった。

第4投

日も傾いてきた18時ごろ、太秦に着いた。駅前の公園でPがふったサイコロの出目は4であり、 無事に京都泊が決まった。疲れのためか、Tのテンションがものすごく下がっており、 「もう電車乗りたくないよ・・・」と口走ってしまうほどであったため、一安心である。 ちなみに他の目は以下の通り。

  1. 少し戻る:大阪
  2. 飛行機見よう:泉佐野
  3. 千年の都:京都
  4. 千年の都:京都
  5. 滋賀の温泉:雄琴
  6. まだまだ進む:岐阜

晩ご飯のお店を探しつつ、料亭街を通り抜けた。 右を見ても左をみても高級料亭で、適当な格好のぼくらはとても浮いていた*3。 そんな僕らにも律儀にいらっしゃいませと言ってくれる料亭の人は人間ができているのか、 おなじみの京都ムーブなのかはわからなかった。 晩ご飯はT御用達の鍋・・・はちょっと予算的に厳しかったので、階下の飲み屋で食べた。 京都だからか、はもの天ぷらと冷奴が特においしかった。 はもの天ぷらは塩で食べるのがおいしく、冷奴は何もかけなくても楽しめた。

食事中に、Sが自慢の石垣写真を披露してくれた。 陰影のコントラストがきりっと効いている写真だった。そして石垣自体もなかなか見ごたえがあった。 石垣って馬鹿にできない。

宿ではディアゴスティーニについての会話が盛り上がった。 スターウォーズ博士のT曰く、ディアゴスティーニスターウォーズ大全集*4は、 最初に貰えるバインダーだけでは足りず、追加でバインダーを2冊くらい買わないと入りきらないらしい。 全集にはモブキャラに関する細かい設定まで書かれており、例えば、 エピソード4のモスアイズリーの酒場で一瞬だけ出てくる宇宙人が、後に反乱軍にパイロットとして入り戦死した、という設定も書かれているとのことである。

第5投

特に寝坊をすることもなく、無事に起きて京都駅でサイコロを振った。 サイコロの目は1で、奈良県王寺行きである。他の目は以下の通りで、 伊賀上野と、西行きの相生が地雷であった。

  1. 和(やわらぎ)の鐘が鳴るまち:王寺
  2. 北陸へGO:敦賀
  3. ダッシュはしない:大垣
  4. 忍者:伊賀上野
  5. 東へ、東へ。:浜松
  6. 新快速って速いですね。:相生

Sに見送られ、ぼくらは通勤ラッシュの電車へと乗り込んだ。 電車内では3人とも体力回復に努めた。 昨日のブルーメッツ号の毒牙は、僕らから想像以上に体力を奪い取っていた。 途中で意識を取り戻した僕は、ぼけーっと外を眺めていたが、お寺は全く見えなかった。 のどかで単調な風景が続いていた。

第6投

王寺でのんびりとサイコロを振った。3を出して鶴橋行きである。 近畿ばかりが出てしまい、T、Pの二人は若干の焦りを感じていた。近畿に囚われているのかもしれない。 他の目は以下の通り。松坂、近江塩津は危険な目であった。

  1. 和歌山一歩手前:関西空港
  2. 大阪、米原経由:近江塩津
  3. 絶景!近鉄奈良線経由:鶴橋
  4. 霜降り牛:松坂
  5. 関西線経由:名古屋
  6. 東海道線経由:名古屋

ゲームオーバーの影に怯えつつも、僕らは近鉄で一路鶴橋へ向かった。 手前の田園風景と、奥の山々の起伏とで、近鉄奈良線は眺めが素晴らしかった。 他の乗客が結構乗っていたため会話は少ないが、各々結構楽しんでいたようだ。

思ったより随分と観光をしている。もっと殺伐とした移動ばかりの旅になると思ったが、いいことだ。

第7投

昼食を目の前にして第7投。まだ500km以上残っているので不安が隠せない。 目は以下の通りで、期待は5もしくは6。

  1. 魚とみかん:和歌山
  2. ひこにゃん彦根
  3. 丹波路:篠山口(※深夜バス)
  4. 湖の西:堅田(鮒が待っているはず)
  5. 言わずもがな:八事日赤(サボテンスパ)
  6. とりにく:茨木(ケンタッキー食べ放題)

振ったのは誰だったか忘れてしまったが、無事に6を出して、 大阪は小野原の当時日本で唯一のケンタッキー食べ放題へと行き先が決まった。 が、どのバスに乗ればよいかわからない。 バスの運転手に系統を聞こうとしたら、冷たくあしらわれて途方にくれるも、 たまたま出くわした優しいおばちゃんにどのバスに乗ればよいかを教えてもらい、 なんとか辿り着くことができた。

食べ放題の内容は、フライドチキン以外にも フライドポテトやチキンナゲット、野菜(レタスとキャベツ千切り)、お米、 ドリンクバー、スープがついて、1200円で1時間であった。 フライドチキンはおいしいのだけど、何本も食べているとさすがに まとわりつく油分が気になる。烏龍茶を飲んでも油は落ちなかった。 結局、15分ほどで限界を迎えた。記録は4ピースだった。

大食いのPは黙々と食べ続けており、暇なので、旅の成功を祈って紙ナフキンで人形を作った。 紙ナフキンだけを使ったにしては結構うまくできていると思う。 f:id:nbisco:20191204145508p:plain

以下の図はPが食べた跡で、記録は8ピースだった。 f:id:nbisco:20100903130712j:plain

第8投

夏の厳しい日差しの中、満腹のPがサイコロを振った。 Pの出した目は2。静岡行きだ。 他の目は以下の通り。福井が2個あるのは、誰かの実家だったからだと思う。 ゴールに無事近づいてきて、一安心。

  1. GOAL一直線:東京
  2. 東海道:静岡
  3. 五十三次:浜松
  4. ゲームオーバー:福井
  5. ゲームオーバー:福井
  6. ゲームオーバー:塩尻

第9投

静岡で再びSと合流した。冷静に考えてなぜ合流できるかわからないが、 わざわざ合流してくれるのはありがたいことである。 最後かもしれないサイコロは、ディレクター的位置のTが投げることとなった。 目は以下の通り。みんな疲れていて、早く帰りたい気持ちでいっぱいだったので 大サービスな目である。

  1. さあゴールだ!:東京
  2. さあゴールだ!:東京
  3. さあゴールだ!:東京
  4. さあゴールだ!:東京
  5. まだ終わらんよ:三島
  6. 魚とともに爆死エンド:焼津

Tは無造作に投げた。サイコロの出した目は6で、魚とともに爆死エンドであった。ここで1/6を引くか。 よくがんばって高知からここまで帰ってきたなあ、っていう感慨が1/3、 終わってしまう寂しさが1/3、ようやく帰れるというほっとした感じが1/3、 というところで、結構あっけない終わりだった。

終わる場所が焼津というのも何だかしまらない気がするけど、終わりは終わり。 移動距離は約2000kmほどであった。

おわりに

振り返って懐かしめるので、文字として残しておいてよかったと思う。当時の旅行仲間とは全く連絡を取らなくなってしまったけど、元気だろうか。

実はこのあと同じメンバーで聖地平岸公園から東京へ戻るサイコロの旅をやったんだけど、そのときの日記データは見つからなかった。幸いにも多少は覚えているので、来年のアドベントカレンダーにでも。

*1:昔の話である。今は高姿勢・高カロリーになっている

*2:1999/09/12にロケ開始

*3:前から来る人は浴衣もしくはスーツ

*4:設定資料のみ。フィギュアとかなし。