犬を日本からカリフォルニアに連れてくる

この記事は平穏な生活を送りたいぴょこりんクラスタ Advent Calendar 2022 のために書いたものです。 このアドベントカレンダーとは何なのかについては、主催者による紹介記事を見てください。

はじめに

前回の記事で、自分ひとりの暮らしが安定するまでを書きました。 今回の赴任では、単身赴任ではなく犬も含めて家族を連れてきています。家族連れで赴任する人はたくさんいらっしゃると思いますが、 犬を連れてくるとなるとぐっと数が減るような印象があります。 ですので、本記事では犬を連れてくるのに何をしたかを書こうと思います。

ちなみに、我が家の犬はかわいいトイプードル(オス、3歳)です。 トイプードルというには少し大きめくらいのサイズ感で、おとなしい性格です。

犬 in Japan

注意

この記事は、あくまで個人的なメモ書きであり、手続きの正確性や最新性を保証するものではありません。この記事に従って手続きしたからといって、犬を連れてアメリカに入国できるとは限りません。必ず自己責任で調査の上、手続きしてください。

Executive Summary

英語併記の輸出検疫証明書を動物検疫所から発行してもらえばOKです。 以下を全部盛り込む必要があるので、輸出検疫申請時に、動物検疫所の指示に従って提出しましょう。 詳細は必要な手続きの章を参照してください。

  • マイクロチップの番号: かかりつけの獣医さんに依頼して埋め込んでもらい、証明書を発行してもらう。
  • 狂犬病ワクチン接種証明: かかりつけの獣医さんに依頼し、証明書を発行してもらう。
  • 狂犬病抗体価検査証明: かかりつけの獣医さん経由で依頼。合計2か月くらいかかるので注意。
  • 在住証明: かかりつけの獣医さんに依頼し、証明書を発行してもらう。
  • (なくてもよい)その他予防接種証明証明: かかりつけの獣医さんに依頼して埋め込んでもらい、証明書を発行してもらう。

必要な手続き

今回は永住ではなく赴任なので、出国の時点で入国、つまり帰国を見据えた手続きを行う必要があります。 手続きはおおまかに日本出国、アメリカ入国、日本入国の3つに分けられますが(今回はアメリカ出国は省略)、 日本入国の手続きは、アメリカ入国の手続きよりも圧倒的に大変なので、まずは日本入国の手続きについて述べた後、 アメリカ入国の手続き、そして最後に日本出国の手続きについて述べます。

日本入国

農林水産省 動物検疫所のウェブサイトは正しい情報をわかりやすく、ていねいにまとめてくれていますので、これ以外見なくてよいです。 わからない場合は動物検疫所にメールをすると、これまたていねいに教えてくれます。困ったこと、わからないことは動物検疫所に相談するのが一番よいです。

さて、農林水産省的には、海外から犬を連れての日本入国は、犬の輸入という扱いになります。 手続きは2パターンありますが、赴任期間は2年間ということに一応なっているので*1、 今回は2年未満の短期滞在向け輸入手続きを参照します。

2年未満の短期滞在向け輸入手続きによれば、必要なものは、以下の3つになります。 これらがあれば、多少手続きはあるものの、日本には戻ってこられそうです。

この中でいちばん大変なのが、抗体価の証明書取得です。 証明書取得には以下の3ステップを踏む必要があります。合計2か月くらいかかります。

  1. 狂犬病の予防接種(1回目)
  2. 狂犬病の予防接種(2回目。1回目の30日以上、1年以内に実施する)
  3. 日本が指定する検査施設での抗体検査(発行まで1か月くらいかかる)

アメリカ入国

調査先としてまず思いつくのが大使館ですし、大使館ウェブサイトには大した情報が載っていません。 電話して確認した、というブログ記事をちらほら見かけましたが、大使館の方がいかに有能とは言え、 犬の輸入に関して細かい手続きを覚えているとは限らないでしょうし、どうせなら元締めに聞くのがよいと考えました。 元締めとは、USDA APHIS(United States Department of Agriculture, Animal and Plant Health Inspection Service)、 CDC(Center for Desease Control and Prevention)、CDFA(California Department of Food and Agriculture)、 あとは自分が住んでいるSan Joseの役所です。 元締めと言いつつも結構散らばってますね。ただ、日本の動物検疫所のウェブサイトから、USDA APHISへのリンクが張られているので、 そこから芋づる式にたどることができます。

それぞれの要件と手続きをしたをまとめると、以下の通りです。 ここでの必要書類は、後述の輸出検疫証明書1枚で全部カバーできます。

  • USDA APHIS: 日本からの輸出なので特にやることなし
    • 狂犬病、Screwworm、Foot and mouse deseaseは日本は清浄国なので、CDCの要件に従えばよい
  • CDC: 入国時の検疫で書類提出
    • 狂犬病ワクチンの接種証明書(英語、マイクロチップの番号付き)
    • (日本は狂犬病清浄国なので)渡米直前の6か月以上日本に在住していたことを証明する書類
  • CDFA: 特にやることなし
  • San Jose: 入国後30日以内に書類のオンライン提出&登録料支払い
    • 犬の登録
    • 狂犬病ワクチンの接種証明

日本出国

出国、つまり輸出に関しても同様に、動物検疫所のウェブサイトを参照します。 必要なものは、以下の4つになります。見ての通り、入国に対して、出国のほうが幾分楽ですね。

  • 開業獣医師発行の健康診断証明書: 在住期間と、どんな予防接種打ったかとかを記載する。動物検疫所が用意しているテンプレを獣医さんに渡せばよい。
  • 予防接種の証明書: 原本を出せと言われるので、獣医さんに発行してもらう。
  • 輸出検査申請書: 健康診断証明書の内容と大きく変わらない。NACCSでオンライン申請した。
  • 当日の健康診断: 事前予約が必要

全部こなすと、なんと 英語併記の輸出検疫証明書 を発行してもらえます。 この輸出検疫証明書は犬輸出における最強アイテムで、マイクロチップの番号付き狂犬病ワクチン接種証明も、在住証明も兼ねることができます。 つまり、これ1枚あればOK。帰国時にも必要になりますので、大事に保管しておきましょう。

おわりに

日本が狂犬病やら他の病気やらの清浄国であるが故に、いろいろ手続きが省略できて大変助かりました。 これも偉大な先人と動物検疫所のおかげです。ありがとうございます。

犬はトラブルなく無事カリフォルニアに来ることができ、今も平穏に元気に過ごしています。

犬 in California

*1:たいてい延びるらしいが・・・