この記事はまたまた!ぴょこりんクラスタ Advent Calendarのために書かれたものです。
犬と寝る
トイレの躾ができているとは言え、犬がベッドに乗るというのは違和感と不安感があった。頭でわかっていて、心が全くついていってない事案である。そもそも、僕のあげた座布団で寝るんじゃないのかと思っていたが、飼い主の寝るのを察知してベッドに飛び乗ってきた。これを引きずりおろすほどの精神力はなかった。「きれい好きだから寝床は絶対に汚さないよ」を信じるしかない。
ベッドの上を少しうろうろしたあと、羽毛布団を踏み固めて寝床を作り、寝たようだ。新飼い主は体を少し曲げてやった。翌朝、体が痛かった。犬は何かあったのという顔をしており、ふてぶてしさを感じた。
散歩
僕にとっての散歩はたいしたことない日常だが*1、犬にとって散歩は喜びそのものである。それくらい喜ぶのだ。普段ほとんど吠えないのに吠えだしたり、しっぽを振りながらせわしなく行ったり来たりするのをみて、喜んでないと誰が言えようか。
散歩という言葉を理解しているらしく、散歩にいくよと声をかけるとはしゃぎ始めるのがわかった。リードをつけようとすると、テンションが上がりすぎたのかリードに噛みついてきて5分くらい離してくれなかった。
昔、何かで「散歩のときは犬の行きたい方向ではなく、飼い主の行きたい方向に向かいましょう。さもないと犬が飼い主の言うことを聞かなくなります」と聞いたのを覚えていたので、頑張ってリードを引っ張りながら歩いた。小型犬なのにやたら力強く引っ張られるので、全く気が抜けない。黒くて大きな犬を連れた方とすれ違ったときは気が気でなかったが、犬同志興味がなかったのか特に何も起こらなかった。トイプードルがすれ違ったときはさすがに何かあることを期待したが、自分を犬だと思ってないのか、完全無視であった。相手の犬はこっちに吠えながら向かって突進してこようとしていたのに、だ。 犬に興味がないくせに、人間、特に中年男性に興味があるようで、すれ違う人に突っ込んでいこうとするのには閉口した。何故なのか。 帰ってきてご飯(カリカリのドッグフード)をあげたが、ほとんど食べない。好物の犬用とりささみをあげてみたら、犬用とりささみだけ食べていた。悪い犬である。
お菓子とおもちゃ
新飼い主は犬に媚びを売るために犬用お菓子と犬用ボールを買った。犬用お菓子と言えばジャーキーかと思いきやたまごボーロだった。見た目、手触りとも人間用と変わらないが、食いつきが異様によかったので、犬用の何かやばいのがまざっているのかもしれない。犬には表情がないので、お菓子がおいしいのかどうかわからなかった。しっぽは振ってなかったように思う。 食後に犬用ボールを転がしたら、野生を思い出したのか、ものすごい素速さでボールに噛みつき、捕らえて振り回していた。なまけものなのか、振り回した拍子にボールが飛んでいくと途端に通常モードになり、こちらを向いた。取ってこいということなのか?転がしてやるとまた野生味溢れる動きをしていた。ひとしきり遊んだあと、疲れたのか座布団で寝ていた。
現在
ひと月たち、ずいぶん犬が慣れてきた。ごみ箱からはみ出ているビニール袋をびりびりに破っていたり、机の上に置いておいたリッツをこっそり全部食べられたりするくらいには慣れたようだ。 新飼い主に対しては下というか大きな子犬として見ているようで、飼い主と新飼い主が並ぶと必ず飼い主のほうに飛びついたり、新飼い主の腕を入念に舐めたり*2、新飼い主が帰ってきても座布団から動かずに「おっ帰ってきたか」みたいな顔で見てたりしている*3。
おとなしく座っているときでも、撫でてるときでも、ふと気が付くとドアのほうを見て、飼い主がくるのを待っている。こうなると呼んでも全く無視である。きっとこれからもずっとこの犬はこうやって暮らすのだろう。今更というか、この短期間でもってもっと自分を見てほしいというのは叶わぬ願いだというのはわかっているが、このかわいい呪いの前に新飼い主は無力であり、今日も少し拗ねながら暮らしている。
なお、今日の帰宅時もごみ箱からはみ出ているビニール袋はびりびりになっていた。私知らないみたいな顔が憎らしく、またかわいい。